笑ってと言わずに笑顔を引き出す

 

僕が駆け出しのプロフォトグラファーとして仕事を始めた頃の話です。

結婚式の現場に行くと先輩のフォトグラファーが新郎新婦さんに対して

こんな言葉を投げかけているのをよく耳にしていました。

「もっと笑顔を下さい」
「幸せなんだから笑いましょう」

幸せな笑顔をフォトグラファーにくれる人。
笑顔を作ってくれる人。
笑えなくて真顔になってしまっている人。

カメラマンが笑顔でとリクエストしたらモデルがそれに答えるのが常識なのだそうです。

でも、面白くもないのに笑えと言われて笑えるはずもないと僕は思います

 

これまでモデルや芸能人、文化人に実業家などを撮影してきた中で分かったことがあります。

それはモデルの笑顔を撮ることは難しくないということです。なぜなら、彼女たちは自分がどういう風に写れば魅力的に見えるのかを知っていて、撮られることが大好きなのです。

けれど、撮られる事が得意でポーズを決めることが出来る人は少数派です。

 

あなたはどうでしょうか。
撮られることが大好きでしょうか。

おそらく全員が撮られるのが大好きなんていう家族は殆どいないのではないでしょうか。

僕はお客様の自然な笑顔を残したくて撮影時に大切にしていることがあります。

それは自然体だということ。

 

そのために「笑ってと言わずに笑顔を引き出す」こと。

写真にはその時の気持ちが残ります。

例えば、高校時代の写真を見返した時。あの時は悔しかったとか、悲しかったとか、嬉しかったとか、、、物理的には写ってもいない感情が思い出されるのです。

僕は「無理やり笑わされたという思い出」を写真に閉じ込めて欲しくありません。

「今まで色々あったけど、あの時は幸せで笑顔いっぱいだったよね。」

10年後に見返した時にそういう風に思い出してほしいのです。

だから撮影現場は楽しくなければならない。どんなに写真が苦手な人でも自然に笑顔になれる。そんな現場を作らなきゃいけない。

写真は世の中の役に立つための手段。
写真を通じて幸せな思い出を残すことが僕の仕事です。

「笑ってと言わずに笑顔を引き出す」という言葉にはそんな想いを込めています。