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戻らない幸せ

「市場の変化は技術の進化で起こっていて

市場の変化が新しい競争を生み出している」

 

元LINE社長の森川亮さんが
そう言っていました。

 

例えば、僕が兵士だとしましょう。

ピストルがなかった時代には

剣術や体術が重要でしたが

銃撃戦だったら、あまり役に立ちません。

遠くから撃たれたら一発でアウトです。

 

そして、今の日本は戦争中ではないので

銃を使うスキルはそもそも役立たない・・・。

それよりスマホを使いこなしたほうが

色んな意味で良さそうです。

 

さて、森川さんのように偉大な実業家や

優秀な発明家たちのおかげで、

世界はどんどん進化しています。


変化のスピードはどんどん早くなっていく。

1+1+1・・・というような変化ではない。

2×2×2・・・という風に変化していく。

 

だから、

いつの間にか自分は時代遅れになっていないだろうか。

世の中から取り残されていっているのではないだろうか。

そんな気分になることもあります。

これを書きながら米津玄師さんのLemonを

聞いているのですが、歌詞がとても良いんですよね。

 

「戻らない幸せがあることを
最後にあなたは教えてくれた。」

あ、話が脱線しましたね。すみません。

話を時代の変化に戻しましょう。

 

写真は昔、限られた人だけのものでした。

薬品の調合の知識も必要だったし、

露出のコントロールをするためには数学的な計算も必要だった。

撮影機材も高価で扱いが難しいものだった。

だから、

ただ写るだけで価値があった。

 

 

やがて撮影したフィルムを巻き取るのは自動に、

ピント合わせも自動になった。

 

フィルムというものも無くなりつつある。

完全に誰でもボタンを押すだけで撮れてしまう時代です。

 

そしてスマホ。

計算機も音楽プレーヤーもカメラも飲み込んで、

みんなの手元に行き渡った。

 

写ることはもはや特別なことじゃない。

カメラを持っていることも特別なことじゃない。

 

そろばんができる人が出世できた時代が終わっているように、

きれいに写せる人に仕事が舞い込む時代も終わりました。

 

時代は常に変わり続けている。

いま桶屋になりたい人はいないし、

刀鍛冶になりたい人もいない。

 

アメリカに軍事を外注しているから、

今の所はピストルの打ち方は覚えなくて良さそうだし、

風呂桶は工場で機械が作っている。

 

それでも、時代は常に変わり続けているから

また日本軍が復活するときが来るのかもしれない。

それは全くの見当違いで

ガンダムのようなロボットに乗って

宇宙人と戦う時代には

射撃のスキルより、ロボットを操る脳波を

鍛えなきゃいけない時代が来るのかもしれない。

 

それぐらい時代は変わり続けていくけれど

現在、僕ら写真家にとっての最大の脅威はスマホだ。

人は写真を撮る時、機械のボタンを押すだけでいい。

なんだ、

それなら、プラスチックの風呂桶を作っている工場に

置いてあるボタンと大して変わらないじゃないか。

 

ボタンを押せば誰でも高品質な桶が作れるのと同じように

ボタンを押せば誰でも高精細な写真が撮れる。

 

森川亮さんの話を思い出しながら
Lemonを聞いて、
でも、やっぱり自分にはLINEのような
アプリを作ることはできないし
こんな曲を書くことも出来ない。

プラスチックの工場も持ってない。

カメラのボタンを押すことしか僕には出来ないのです。

そして、

スマホにカメラが飲み込まれたように

メガネにスマホが飲み込まれる時代が

やってこようとしています。

 

車は空を飛んで、月に旅行に行く。

それも遠くない未来にやってきそうです。

 

誰でも瞬きするだけで

美しい写真が撮れるような世界。

誰でもイメージするだけで写真が共有される時代。

技術の変化とともに新しい競争が生まれる。

 

 

「え??お金を払って写真家に撮ってもらう?

そんな時代があったんだね〜〜

だってイメージするだけで形になるんだよ?」

 

僕の恐れと人々のイメージが現実化したら

カメラマンという職業はなくなるのかもしれません。

 

できれば自分にとって都合の悪い技術は進化しないで欲しいけど、

森川さんや偉大な発明家たちは僕の話を聞いてくれそうもない。

 

進化してしまったら戻らない幸せもありますよ。

僕に米津玄師さんみたいな美しい言葉が使えたら

森川さんたちを説得するんだろう。

 

どうしてイノベーションが必要なのでしょうか?

どうして競争が必要なのでしょうか?

でも、どれだけ森川さんたちに説明したとしても

技術が退化していくことは絶対ないだろう。

 

そうなると、
僕たち写真家の余命はせいぜい50年ぐらいだろうか。

それでも、
自分にできることといえば
カメラのボタンを押すことしかないよね。

 

そんな事を考えながら、

今日はLemonのこの一節を何度も呟いてしまいました。

「戻らない幸せがあることを
最後にあなたは教えてくれた。」

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