【メディア掲載実績】毎日新聞 2015年07月11日「ここいろ・心彩:瞬間、永遠に」

ずっと前から何回も取材を受けていた毎日新聞さん。まだ掲載されていなかった記事が世に出たとスタッフから報告を受けたのでシェアしますね。あ、もう先月のことなんですけどね。相変わらず遅くてスミマセン・・。

ここいろ・心彩:瞬間、永遠に

東日本大震災の後、写真館を訪れて家族写真を撮る人が増えている、と聞いた。徳島県石井町の「阿部写真館」もその一つ。年間約500件と、震災前と比べて依頼が倍増したという。娘の4歳の誕生日を機に家族で訪れた同県吉野川市の会社員、工藤正さん(41)は「津波で思い出の品を失った人たちのニュースを見て人ごととは思えず、写真を残しておきたくなった」と話す。

11日で、震災から4年4カ月。写真館の北原慎也店長(33)は「その時だけの、家族の大切な瞬間を残しておきたい方が増えているのでは」と思いやった。【写真・文 宮武祐希】

毎日新聞さんのサイトより引用

心の豊かさを求める時代

ボクが今更いうことでも無いのですが、東日本大震災の後で日本人の価値観って大きく変わったんですよね。戦後、焼け野原で貧しかった時代にはテレビ、洗濯機、冷蔵庫の3種の神器なんてコトバもあって、要するに沢山のモノを手に入れよう。所得を増やそう!っていう風にみんな思っていた。でも最近ではクルマなんて要らない、出世も別にしたくないなんて人も出てきた。目に見えるモノを追うだけが幸せじゃないってことにみんな気づいてきた・・・・「心の豊かさ」を求めるようになったんですよね。

で、薄々感じてたことが震災で一気に表面化した。

その一つの表れとして家族写真が増えてきた。写真館って昔は七五三とか成人式とか結婚式とかそういった「節目の記念写真」を撮るところだったんですけど、それがどうも変わってきているのです。最近増えているのは私服の写真。いわば「特別ではない日常の写真」です。

なんでもない瞬間を写した1枚。

幸せは形がない

心の豊かさ・・・要するにみんな幸せを感じたいって事なんだろうけど問題が一つある。幸せには形がない。だから掴むことはできない。お金は数えることができるけど、心は計測することはできない。掴んだり、測ったりできないから、自分は今どれぐらい幸せか客観的には分からない。

するとたまに不安になったりする。嫌な出来事があったりすると、これでいいのか??って思ったりすることもある。

客観的に見て気づく

写真を撮るという行為は今を客観的に見るという行為。撮影しているときは恥ずかしそうだったパパに後から話しを聞くと、すごい楽しかった!って言ってくれることも良くある。写真に写された自分たちの笑顔を見て、幸せであることを後から認識している・・・そんな家族が多いように思う。客観的に見て、初めて幸せに気づく。

閉塞感の漂う日本

新聞やテレビからは明るい話題は聞こえてこない。人口は減っていくし、世界情勢も緊迫している。今は平和だけど明日はどうなるか分からない。ついでに隣に住んでる人の顔もわからない。不審者にある日突然、刺されるかもしれない・・・・心配しだすとキリがない。でも、そんな世の中だからこそ、つながりが欲しい。絆を感じていたい。幸せだと実感したい。

僕たちの社会的な役割は何なのか。それは幸せに気づかせてあげるお手伝いをすること。ただ家族が一緒に居られるだけで幸せだということを教えてあげることかもしれない。その形がない幸せを形があるモノにするのがフォトグラファーの役割

写真を撮ることの先にあるものを忘れないようにしたい。そんな事を思ったのでした。掲載してくださった毎日新聞さん、ありがとうございました!

 

 

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